◆幸せになれない人を好きになることには理由がある
私たちは、原体験に通じるような人が自分の目の前に現れたとき、原体験と同じパターンの感情を感じ、その原体験を再現するような状況を作ることがあります。
過去に助けたい誰かがいて、その人を助けてあげられなかった罪悪感などが心に残っていると、助けたい症候群の恋愛にハマってしまうことがあるんです。
たとえば、「お父さんは仕事が忙しく、あまり家にいない人だった。そのせいか、家に居場所がなく、家族のなかでも浮いた存在だった。お父さんがさみしそうにしているのはわかっていたけれども、家族のことなんてどうでもいいんだろうと思っていたから、私もお父さんのことを無視していた。お父さんはいつもひとりぼっちだった。」というようなケース。
お父さんがさみしそうと思いながらも、なにもしてあげなかった罪悪感があると、その罪悪感を補償するために、さみしさを抱えている男性をほっておけなくなってしまうんです。
心理的には「お父さんを助けられなかった罪悪感があるので、さみしそうな彼を選び、同じ罪悪感を再現している」ということになるんですね。
人生のなかで何度も繰り返されるパターンのことを「再現性」といいます。パターンという言葉のほうがみなさんには馴染みがあるかもしれません。
なぜ再現するかというと、かつて助けられなかった誰かを投影する人を助けることで、未消化になっているその感情と向き合おうとしているわけです。
ということは、今の彼を助けたところで、本当に助けたかった人への罪悪感を手放せなければ、どれだけ彼を助けたところで、助けたとは思えないということになります。
◆本当に助けたかったのは誰?
◆本当に助けたかったのは誰?
助けたい症候群が「過去の誰か」を映し出す鏡のような恋だとするならば、見つめるべきは「私が本当に助けたかったのは、いったい誰?」というところです。
それを見つめておかないと、助けても、助けても、次のレスキューが待っています。罪悪感のもとになった人の代替え品として、エンドレスにレスキューが続いていくわけです。
女性であれば、そのルーツにお父さんが見え隠れします(お母さんの場合もあります)。助けたいと思うのは、なにもかわいそうなお父さんとは限りません。いつも怒っていて暴言を吐くようなひどいお父さんというケースもあります。お父さんのことを憎むこともできるけれども、なぜかお父さんの怒りのなかに悲しみが見え隠れすることを、子供はなんとなくわかってしまうのです。
お父さんの悲しみの理由など、子供は知るよしもありません。でも、だいたいはお父さん自身もとてもひどく扱われる幼少時代を過ごしていたりするのです。子供は感情のかたまりですから、そんなお父さんの心の痛みを見通してしまう。そして助けたいって思うのです。
でも、子供ですから上手に助けることができません。すると、大人になってから、助けられなかったお父さんの代わりに傷ついた男性ばかりを選んでしまうことがある。この罪悪感を償うために誰かを助けようとすることを「助けたい症候群」といいます。
子供の頃の自分は無力で助けてあげることができなかったけれども、今の自分ならば助けてあげることができるのではないかという心残りがそこにあるのです。
助けられなかった自分を責めている恋ですから、なかなか幸せになれないことが多いのも特徴です。助けられなかった罪悪感が強いぶんだけ執着も強くなります。
どんなにひどいことをされても我慢する癖がついたり、相手の言うことをなんでも聞いて都合よく扱われることで相手を助けようとしたり。この人といても幸せになれないと頭ではわかっているのですが、心が求めているのでそう簡単に離れることができなくなるのです。


◆自分の幸せが二の次になってしまう=他人軸の人生
それが共依存といわれる関係性になることもあります。
共依存というのは「助ける側」と「助けられる側」の関係性が固定化してしまい、変わることがありません。そのため、自分を犠牲にすることが相手を救う方法になり、自分が彼を救う唯一の救済者だと思いやすくなります。
すると「彼には私がいないとダメなの」が口癖になります。彼が好きだから一緒にいるというよりは、彼を助けることが目的で一緒にいることになります。彼専属のレスキュー隊員になっているからこそ、夜中だろうがなんだろうが駆けつけていくわけです。
好きになった人を助けてあげたいと思う気持ちは、とても素晴らしいことです。ただし、助けたい誰かへの投影が潜んでいると、幸せになりにくい恋愛になるのです。
なぜならば、自分の幸せを二の次にして相手を助けることを優先しているので、相手主体の人生を生きているからです。つまりは「他人軸の人生」になるのです。本来であれば、自分の幸せをいちばんにしたうえで、相手を助けることを考えなければいけません。


◆レスキュー恋愛をしているあなたへ
では、このような恋愛をしている人はどうしたらいいのでしょうか?
ファーストステップは、「助けたい自分を助けてあげること」。
つまりは「自分自身を助ける」ということなのです。
きっとそんなことは考えたことがないでしょうね。これは「自分が海で溺れていたら、溺れている他の人を助けることなどできない」という理論と同じで、自分がまずは助からなければいけません。
自分を責めすぎることをやめる、我慢をしていることに気がつく、感情を吐き出す場所を見つける、誰かに自分の感情を受け止めてもらうなど、まずは自分がラクにならなければいけません。
このような恋愛をしている人の多くは、ボロボロになった彼を助けようとするあまり、自分のほうがもっとボロボロになっていることがほとんどなのです。
だから、最初に取り組むことは「彼を助けたかったら、まず自分が助かること」です。
ここは大事なところだからよく聞いてほしいのですが「彼に与えたいものを、まず自分が受け取る」ということです。
助けられなかった罪悪感が強い人にはこの発想がまったくない人が多いのですが、彼を助けたいと思うあまりに、自分自身を見捨てていることがとても多いのです。
「もしかして私、レスキュー恋愛をしているかも?」と思う方は、助けられなかった誰かがいないか、自分自身を見捨てていないかをチェックしてみてくださいね。
そのうえで「自分を主体にする」「自分軸を取り戻す」ためのアプローチとして、カウンセリングもご利用いただければと願います。参考にしてください。
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