
「一年のなかで年末年始がいちばん嫌いだ」という人はいるでしょうか?
昔の私も年末年始が大嫌いでした。
以前美容師をしていた頃は、31日の20時までみっちり仕事。
だから、年越しを実家に帰省したことは20年近くありませんでした。
とはいえ、実家に帰りたかったわけでもないのです。むしろ、帰りたくなかった。
当時は親との折り合いがわるく、まるで家出娘のような生活をしていましたから。
どうせ4日からすぐに仕事が始まるのです。それを言い訳に長いこと親とは疎遠でした。
毎年、一年の最後のお客さんは、近所のパン屋のおばちゃん。
綺麗にしてお正月を迎えるために、お店を閉めてからカットに来るのです。
年末にパンはあまり売れないと思うのだけど。夫婦経営のパン屋さんは、「それでも買いに来てくれる人いるからね」と大みそかでもお店を開けるのです。
でもやはり、いくつかのパンは売れ残るに決まっている。
だからというわけではないのですが、大みそかはなぜかパンを買いに行きたくなるのです。
なぜかなぁ?
私はあまりパンが好きなわけじゃないんだけど。だけど、なんとなく。
大みそかに食べるパンは、「大みそかでもパンを食べるような人のために作られていたパンなんだ」と気がついたのは、ずいぶんとあとになってから。
私は、パン屋のおじちゃんおばちゃんが残しておいてくれる「いつもの空気」に、ほっとしていたのかもしれません。
甘さ控えめのちっとも今っぽくないパンだけど、ただ、おじちゃんとおばちゃんの顔が見たかったのかも。今となれば、それもこれも親不幸な娘の罪滅ぼしだったのでしょう。
ふとそんなことを思い出した31日でした。
どなたさまも良いお年を。