昔のお話です。
わたしが14歳の頃、母は家を出て行きました。
それは、両親が離婚をすることになったからなのですが。
母が出て行ってしばらくして、
引き出しの中の写真が無くなっていることに気がつきました。
父の写っている写真だけを残して。
そうなんです。
母は、わたしと弟の写っている写真だけを持ち出したのです。
それから二十年の時を経て、その写真はわたしの手元に戻ってきました。
わたしが結婚を決めた時に、それは戻ってきました。
「ここからは、あなたが自分の人生を繋げて行きなさい。」
・・・そんなことを、母には言われたように思います。
わたしは長いこと、母がなぜ子供の写真を持ち出したのかと考えていました。
おそらく、思い出と記憶と共に、母は過ごしていたのでしょう。
なかなか逢うことのできない、自分の子供の思い出と記憶と共に。
そうでもしないと、ひとりでいることに耐え難かったのかもしれません。
現在の母は再婚をして、それなりに幸せに暮らしています。
今朝早い時間に、九州を旅行中の母から「明太子送ろうか?」という電話があり、
わたしが母を思い出す回数なんかに敵わないほど、母は子供のことを思い出しているのだろうと。
親の心子知らず。
そんな言葉をかみしめながら、古い記憶のお話でした。